誉田哲也
ベストセラー「姫川玲子」シリーズのオリジナル短編。今回は、ヒロインの姫川警部補が率いる警視庁捜査一課殺人犯捜査第十一係に属する“バタヤン”こと小幡浩一巡査部長を語り手に立て、芸能人の薬物犯罪事件を描く。売れっ子のモデル兼女優・小谷麻莉子(26)が港区内の交番に出頭し、覚せい剤を持っているので逮捕してほしい、と申し出た。所持品に覚せい剤が見つかり、小谷は所持容疑で逮捕された。小谷は1月16日、半グレの男・笛田から、使用目的で覚せい剤を買ったと供述したが、尿検査、毛髪検査はともに陰性。警視庁もマークしていた笛田には、当日、確かなアリバイがあった。薬物の出所は本当に笛田なのか? 事件を担当する麻布警察署組織犯罪対策課のベテラン刑事・下井から依頼を受け、姫川と小幡は、小谷が勾留されている湾岸署に取調べに出向く。小幡を含め、男性捜査員が軒並み小谷の美に無力化される中、姫川に白羽の矢が立ったのだが……。