大前粟生
中学二年生の僕は、「大人みたい」と友達に評され、口惜しいが、自分でもそう思っている。だから、幼馴染のケンケンが坂本にいじめられていたって、器用にクラスの空気を読み、「なんでもない」とやりすごす。やがて、文化祭のシーズンがやってきて、半強制的に主役にされたケンケンは、ある行動に打って出る――。閉塞感と退屈が支配する生活、大人になる手前にいる登場人物たちをリアルに描きだした、新時代の青春小説。